窯元六姓とは、古くから備前焼の陶工として活躍した六家をさし、木村家はその六姓の一家です。江戸時代、備前藩主池田家は、備前名物として備前焼を保護奨励し、窯元六姓の中から優秀な陶工を選んで御細工人として扶持を与え、備前焼製作に専念させました。延宝三年、その御細工人として我祖木村長十郎が選ばれ、以来代々池田家御細工人として将軍家への献進物など幾多の名品を出してまいりました。
「倉敷一陽窯」は私の父、木村浩久(木村一陽の三男)が、備前焼窯元「一陽窯」から、分家、独立する形で、1986年に設立されました。1階の「備前焼ギャラリー」では一陽窯の作品やお奨めの備前焼作家の作品など、幅広く取り揃えています。また、備前焼をより身近に感じて頂く為に、2階は備前焼を使った「喫茶コーナー」になっています。 備前焼の魅力は炎と灰の織り成す自然の景色にあると思います。景色の良い作品を店頭に並べることが出来るように常に心がけています。作品は、窯場まで足を運び、出来るだけ自分の目で選ぶようにしています。 私にとって備前焼は幼い頃からとても身近な存在でしたが、特別な関心は持っていませんでした。大学時代を京都で過ごした影響もあり、その頃から日本の伝統文化に興味を持つようになり、郷土の伝統工芸品である備前焼に対しても強く関心を持つようになりました。 生活様式が次第に洋式化している今日であるからこそ、限られた「和の空間」に心の安らぎを求めることが出来ると思います。備前焼を通して、一人でも多くの方に「和の空間」づくりのお手伝いが出来ればと思っています。